2017年2月22日水曜日

 ブルーススケール 其の弐

 コードが変わろうが変わるまいが、どーなろーが我が道を行く。勝ち気で勢いのあるブルーススケールの使い手に私は敬意を表します。一本気なハーモニカプレイヤーとか、アルバートキング師匠のように、どんな曲が来ようと同じ音使いで押し切れるギタリスト。ボビーブランドやジミーウイザースプーン先生方の様に歌唱で全てを表現してしまう。うーむ、私なぞ一生かけても無理でしょう。

 ブルーススケールをマイナーペンタトニックと命名されるのは間違いなく間違いで、これはセブンスのテンション*である♯9の音をマイナーコードのキーワードである短三度の音程と勘違いしているためです。このブルーススケールでは三度の音程をオミット*することによって、より広く大きく、サブドミナント7th*などのあらゆるコード進行にも対応し、また♯9とセブンスの音が、よく使われる6セブンスや2セブンスといったコード進行をオルタードにカバーする*?とても合理的な音列です。一つのスケールで一曲を弾ききる!まさにブルーススケールという命名がぴったりであるわけです。テンションを含んだ、ある意味とんがった?オールラウンドなスケールなわけであります。とても力強い基本がブルーススケールにあるのです。そして!非常に大切な事がメジャースケール*のブレンドです。


 ブルーススケールに当たり前の様にメジャースケールを混ぜ込みます!。混ぜ込んで初めて、本当の意味でのブルーススケールになります。メジャースケールに近づいたり遠のいたり、ちょこっと混ぜたり、知らん顔したりすることで、音列に変化をつけていきます。BBキングやロニージョンソンはうーんとメジャースケール寄り。アルバートキングやバディーガイはガツンとブルーススケール寄りです。Tボーンウオーカーはバランスよく、常に真ん中あたりをいっており、モダンブルースの父と呼ばれる所以なのでしょうか。このブルーススケールとメジャースケールのバランスが、プレイヤーのひとつの個性になっているのかもしれません。この方法は、黒人ブルースギタリストならばほぼ全ての人が実践している手法です。つづく。



 (本文は敬称略とさせていただいております。)



*セブンスのテンション
 セブンスコードについて少し書き留めておきます。以前にも紹介しましたが、和名で属七と呼び、おかたい理論書ではドミナントセブンとあるでしょう。ルート、長三度、五度、フラット七度(なぜか七度だけはフラットした七度の音を7thと記載する)の四和音がセブンスです。C がルートでしたらドミソ♭シです。長三度ですからあくまでメジャーコードなのです。ブルースは三つのコードが全てセブンスになっている事が特徴となっております。
 セブンスにはテンションと呼ばれる五番目以後の音を自由に加える(実はセブンスだけではなく、全てのコードにテンションは加えられるのですが)ことが多く、全て記載しますと…♭9th  9th  ♯9th 11th  ♯11th  ♭13th  13th  となります。例えば 9thは9番目の音で、C ならばドが1番目。そのコードがマイナーだろうが何だろうが普通のドレミファソラシドで順番に数えていきます。するとレになります。そのレの音を加えれば、C7 9th となります。ドミソ♭シレです。

*オミット
 表現しない。その音をださない。

*サブドミナント7th
 キーが Gの場合…トニックが Gで4度上のサブドミナントが Cす。ちなみに5度上のドミナントが D。中学校で習った主要三和音ってヤツです!ドミナントが7thになるのは当たり前なのですが、サブドミナントが7thになる事が肝心!。それだけでブルースフィールたっぷりになり、ある意味ブルースの決め手であります。

*オルタードにカバーする?
 それぞれのセブンスコードに含まれるテンション(♯9thや♭13thなど)でカバーできます!

*メジャースケール
  キー C であれば…ドレミファソラシド




 
 













 

2017年2月9日木曜日

 ブルーススケール 其の壱

 前段は少々理屈っぽい話。そもそも音楽の技術的な話を、活字で表現しようとする事自体無理があり、私のない頭では手に負えない訳です。今回は最初に吐き出して後で煮詰めようと思います。ブルーススケールとは、皆さんがよく勘違いをされているマイナーペンタトニックスケールと同じ音列のものです。キーが A ならば A C D E G A の5音階です。ラドレミソラです。いいですか?。

 ブルーススケールとマイナーペンタトニックスケール。
 同じ音列なのですが全く違うスケールです。

 理屈は簡単。ブルーススケールはマイナーコードの上にのせる訳ではないから!です。簡単ですね!一言です。例えば…正真正銘のどメジャーの曲に…例えばテネシーワルツとか(古い?)キャンディーズの微笑みがえしとか(古いか?)…そこに堂々とのっかっていいんです!。ブルースフィールたっぷりなわけです。

 田舎者の私がまだ本物のブルースと出会う以前。ジェフベックのブロウバイブロウやワイアード、ライブワイアーなどを、中学生の時に比較的安価な輸入レコード店にて新譜で買いました。ご存知の通り、ジェフベックはイギリス人ながらごりごりの!ブルースマンです。当時情報の少ない中、フュージョンブームのはしりであったジェフベックのこれらのアルバムをきくと、どメジャーな曲の上で、ブルースフィールたっぷりなソロを気持ち良さそうに弾いているのでした。私は何の違和感も感じず、そのラインをおいかけました。後々、本物に出会ったときも、ブルースは当たり前のように私の体にはいってきました。つづく。














 

2017年2月1日水曜日

 ゴーストノート 其の参

 もともと周りの音に埋もれがちなゴーストノート(以下ゴースト)。しかしはっきり見えるおばけは信用できない!はっきりしていないからゴーストなわけです。エレキギターにおいてのいい音とは?=空気感を感じる音ではないか?=ゴーストノートをたっぷり含んだ音なのではないか?なかなか出てこないゴーストをどうすれば上手く背後にうろつかせることができるか?。結論は単純かつ難しいものになりました

 十分な音量の確保。
 ソフトかつハッキリしたピッキング。 
 共鳴させるターゲットノートの確保。
 

 ドラムの人は全てクリアしている技術だと思っております。まずアコースティックであるドラムにまけない音量が絶対必要です。パンとはじいた弦の音が、スネアをスタッ!と叩いた音と同等以上の音量でなくては話になりません(スタッ!のスはゴーストです)。でかい音のセッティングで強く弾かない。弾き方でコンプリミッターを再現させる感じです。実音とゴーストのバランスをうまくとるわけです。共鳴音や倍音、時にはノイズも仲間に入れてギター全体で鳴らす感覚です。上手なエレキベースプレイヤーはみんなこれですよね!まるでオルガンの足鍵盤の様な音を出す人を見かけます。

 またこれはノイズが出やすいセッティングで、ヘマればノイズが大きく出てしまいます。要注意です。強く弾かず、粒の揃ったラインを出すのは難しいことですが、心がけていれば気持ちよく弾けるようになります。ピックを使う人は…弦に対してなるべく角度をつけず、ピックの最大限の面積を使い、鳥がついばむ様なイメージで弾くといいと思います。指で直接弦を弾く人は…どの指にしろアポヤンド*を基本としますが、もう一つ…パチンと弦を指に引っ掛ける弾き方もおもしろいと思います。この弾き方、実は音が小さいことをご存知でしょうか?。
 大切なことは強い音を出そうと思えば即だせる状態。ブルースギターには特に必要だと思っております。

 ハウリングをおこしやすい箱物ギターや、ソリッドギターでもよほど歪んだ音色でない限り…開放弦の共鳴が利用できます。右手のパームミュート*が習慣になってる人が多いと思いますが、たまにミュートをはずしてみることも必要かもしれません。また開放弦にない音程の共鳴を狙うことがあります。押さえる訳です。ネックをわしづかみにして親指で5弦や6弦を押さえたり、人差し指でセーハしたり、コードを押さえつつメロディーをならしたり(押さえるだけでコードを弾く訳ではない)などなどです。アルバートコリンズ氏が何故12フレットにカポをつけるのか?。それはオープンチューニングの開放弦をうまく利用する…激しく共鳴させてるわけです。あの人も強烈なゴーストの使い手ですね!。

 アルバートキング師匠は、所々で強烈な重低音ゴースト*が出ています。これは共鳴と呼ぶより、でっかい手でムンズと握りしめた結果、手のひら側にある6弦が鳴ってしまってる訳です。これは狙ってやっている気がします。




アポヤンド
 縦方向に押し込むような弾き方。隣りの弦に指があたる形が弾き終わりの形。対してアルアレイははじく様に弾き、指が宙に浮いた形が弾き終わりの形。

パームミュート
 ピックを持った手の平の小指側をブリッヂに置くミュート方法。

重低音ゴースト
 アルバート師匠は6弦を全く弾きません。Low B にチューニングされたこの弦は、もしかしたら最初から…この重低音ゴーストを出すためだけに張られているような気がしてならない。ゴーストを聴き取りやすい師匠のプレイを一曲。

 (I think I'm) Drowning on dry land (Instrumental)
 Albert King Years gone by (1969)  by Stax